綾香 :わたし、平松綾香17歳。私立清柳学園に通う高校2年生。
夏休みに入り今日は皆で海にきてるんだ♪
もちろん大好きなあの人も一緒♪
今年の夏は何かが起きそうな予感がギュンギュンしますわ!
■その17.5 うれしはずかし夏休み■
(*この作品は第18話の前に書かれたお蔵入り作品です)
ちさと:夏がくーれば思い出す〜。
春菜 :また歌ってるし。しかも場所違うし。
ちさと:尾瀬もいいけど今日は皆で海に来てるんだよ。
ざっぱーん・・・。
織音 :わーい、海だ〜!
早苗 :織音は小学生か・・・。
はしゃぎすぎだって〜。
綾香 :まぁまぁ。
今日ばかりは思う存分楽しませてあげましょうよ。
早苗 :へぇー、珍しいこともあるもんだな。
ひかる:もしかして織音さん、最後の日?
明日には綾香さんの手によって海に沈められるんじゃないかと
思うと心配です・・・。
早苗 :え?そうなのか?!
平松さん、早まるなよ!それだけは!
綾香 :ど、どうしてそうなるのよ!
そりゃ、いつもなんだかんだ言ってるけど!
ひかる:あら?
ではどうして?
綾香 :今日は機嫌が良いからよ。
こうして広い海や青い空を眺めていると心がとってもおおらかで広くなりますわ。
千神町での日頃の行いもほんとちっぽけで些細な事に感じますわ。
ひかる:いつもそうでしたらいいのにね。
綾香 :先輩もね。
ひかる:むー。
ちさと:まぁまぁ、せっかく海に遊びにきたんだし楽しもうよ!
結局、皆で一生懸命バイトして夏の旅行資金ためたけど
綾香先輩のおかげで助かっちゃったしね〜。
春菜 :ほんと。
かきいれ時のこの時期に旅館にタダで泊めてくれるなんて最高だよ。
綾香 :もぅ〜、「かわいい後輩」の為だもの遠慮なんかいらないわよ〜。
ちさと:あははは、見返りは期待しないで下さいよ。
早苗 :相変わらずわたしらは勘定に入ってないのな。
綾香 :氷上さん達はおまけでくっついてきたくせに贅沢言わないの!
早苗 :・・っ!
あのなぁ。
春菜 :でも早苗先輩。
結局こうして皆で泊まる事になったんだからさいいじゃない。
綾香 :そうそう、だーって、天王寺君が全員参加じゃないと行かないって言うからー。
ひかる:その点についてはほんと感謝してますわ。
早苗 :確信してたの間違いじゃないの?
ひかる:む。
私いぢめられっこ?
ちさと:そ、そんなことないですって!
ね?
春菜 :はは。
綾香 :ふふ、氷上さんもやりますわね。
でもいつもこっちがいぢめられてるんだしたまにはいいじゃない。
ひかる:はぁ。
織音 :ただいま〜。
早苗 :もう泳がないの?
織音 :うん。つかれちゃったからちょっと休憩。
綾香 :あんたって基本的に運動音痴のくせに泳ぎだけは達者なの?
織音 :・・・あぅ。
運動は苦手ですけど楽しいですから・・・。
そんな綾香さんは泳ぎはどうなんですか?
綾香 :そりゃあ私は大得意よ!
早苗 :特に競泳なんかはね。
春菜 :初耳〜。
ひかる:綾香さんって内容より勝ち負けにこだわるんですよ。
織音 :競争がかかると本当に強いですよね。
綾香 :うぐ。
なんか誉められてんだか貶されてんだかわからないわ。
早苗 :織音〜、今日はあんまり刺激するなよ。
織音 :・・・??
綾香 :あんたはいつも余計な一言が多いのよ。
織音 :なんで?
なんか私、変な事言ったかなぁ?
早苗 :相変わらず気がついてないのね。
ちさと:はは。
綾香 :まぁバカな子にいくら言った所で今更治らないわよ。
織音 :私、バカじゃないもん!
この前のテストだって点数良かったし。
早苗 :織音、そういう意味じゃないぞ。
綾香 :何よ!
ちっとばかり私に勝ったからっていい気になるんじゃないわよ!
春菜 :そーか、綾香先輩は織音先輩より点数低かったのか。
織音 :やめてください〜、暴力反対〜。
ひかる:まぁまぁ、ここに来てまでケンカはいけませんわよ。
綾香さんも心がとってもおおらかで広くなったんじゃなかったのですか?
綾香 :そうだったわ。
せっかくこの心地よい海風に吹かれて心が洗われていたというのに。
織音 :・・・浄化?
スパーン!
織音 :はう!
痛いでふ・・・。
綾香 :それが余計なのよって言ってるでしょ!
この山暮らしの山猿!!
織音 :あぅ〜。綾香さんだって同じ「町」に住んでるくせに〜。
綾香 :・・・ぴくぴく。
ひかる:織音さんの選ぶ言葉がステキですわ。
早苗 :はぁー。そう見えるのか?
織音 :えぐえぐ。
ひかる:ケンカはダメ!
綾香 :でも、この子っていつも変なところで揚げ足とるから。
ちさと:もう先輩達。
せっかく海に遊びにきたんだし楽しもうよ!ね?
ひかる:そうですよぅ。
日頃の確執は忘れて楽しまないと。
私は目が見えない分、感覚だけでも楽しまないとね。
ちさと:はは、その割にはさっき泳いでいたよーな・・・。
あれは幻?
春菜 :七不思議だから。
ひかる:それは心外ですわ。
あれは「見よう」としたから「見える」というか「感じる」のであって・・・。
でもあまり多用すると疲れちゃうから。
ちさと:・・・どういう事??
ひかる:あー。
くすくす。やっぱり七不思議にしておいてくださいな。
綾香 :そうそう、そういうことはあまり深く考えちゃいけないのよ。
ちさと:そうですね・・・。
克巳 :おーい。
飲み物買ってきたぞ。
天王寺 :わりい。店が混んでて遅くなっちまった。
ルーシャ:私もいるぞー。
春菜 :やっと来た。遅いよ〜。
克巳 :ん?
なんだ?
ひかる :あら、友内さん、顔腫れてません?
ルーシャ:手形ダヨ。
克巳 :ガー!うるせー!
天王寺 :あー先輩、そういうのは恥ずかしいから聞かないでやってくれ。
ひかる :くすくす。
天王寺 :じゃあみんな、好きなもの取ってくれ。
春菜 :あ、私オレンジジュースもらい〜。
ちさと :わたしも。
綾香 :私はスポーツドリンクっと。
あんたはこれね。はい。
織音 :あぅ。ちょっと私にも選ばせてくださいよ。
しかも炭酸苦手なのに・・・。
早苗 :だから止めろって。
天王寺 :織音ちゃん、俺が代えてやるよ。烏龍茶だけど。
織音 :やった。
綾香 :ム。
どうしてあんたはいつもいつも!
早苗 :平松さんが蒔いた種だろ。
ひかる :あらあら、残念。ビールしか残ってないのね。
ぷしゅ。ごきゅごきゅ。
天王寺&克巳 :それは買ってねェぞ!
しかももう飲んでるし!
ちさと :また、どこからか持ちこんだのね・・・。
ひかる :そんな、一体誰が?
天王寺 :もういいよ。
綾香 :ということは1本余るよね?
のどが乾いて足りないから私もう1本もらっちゃおうっと。
ひかる :あ、それは・・・。
綾香 :え?
天王寺 :おい!平松。
残ってるのはこっちだぞ。
ちさと :大変!それってビールじゃん!
綾香 :ぜ、全部飲んじゃった。
ひかる :それわたしの・・・。
早苗 :ほんと。気をつけてくれよな。
いつも散々な目にあっているんだからさ。
綾香 :大丈夫よ、1本くらい。簡単には酔わないから。
早苗 :・・・だと良いけどな。
って、今気がついたけど克巳が持ってるのって・・・。
ルーシャ:あ、スイカだ!
克巳 :ああ、これか。
皆で食べようと思ってな。
綾香 :あんた最近ほんと気が利くじゃない?
春菜 :さすが名脇役。ぱちぱち。
克巳 :なんか嬉しくねぇ。
天王寺 :まぁまぁ。
ひかる :・・・じー。
早苗 :?
ひかる :スイカ割りしましょう。
一同 :却下。
ひかる:あら。
春菜 :この手のイベントはもういいわよ。
綾香 :そんなことしたら食べられなくなっちゃうわ。
織音 :綾香さんに叩かせたら粉々になっちゃうし。
ポカ。
織音 :はぅ。
ちさと:(・・・漫才?)
綾香 :かわりにアンタの頭カチ割ってやろうかしら?
春菜 :過激だなぁ。
ひかる:・・・。
あの、綾香さん?
綾香 :何よ?
ひかる:あの、もしかして酔ってませんか?
綾香 :酔ってるわけないじゃない!
ちさと:でも、顔赤いよ。
綾香 :お酒のせいじゃないと思うけど・・・。
ちょっと頭が熱くてふらふらしますわ・・・。
春菜 :もしかして熱射病?
天王寺:確かにいつもの平松なら1本くらいじゃ
酔わないはず・・・。
綾香 :でも、目がぐるぐる回って・・・。
パタリ。
織音 :あ、綾香さん!
早苗 :お、おい!!
熱いよ!!これは本当に熱射病かも。
そう言えばさっきからのど乾くって言ってたし。
ひかる:早く応急処置を!
春菜 :こっちの木陰に。
早苗 :水か何かないか?
陸上部のときは頭から水ぶっかけて沢山飲ませたんだけど・・・。
克巳 :今、持ってくる!
天王寺:ついでに救護も。
克巳 :まかせろ!
ちさと:綾香先輩〜大丈夫?
綾香 :う〜ん・・・。
春菜 :ってひかる先輩!
なにやってるんですか!!
ひかる:あら?
とりあえず水が無かったもので・・・。
ちさと:ヤバイよ!!それビールじゃないの!!
そんなの飲ませたら・・・。
むくり。
綾香 :ちょっと、アンタ殺す気?!
ちさと:お、起きた。
春菜 :大丈夫なのか??
ひかる:まぁ大成功。
天王寺:そんなわけない!
しかし平松。お前本当に大丈夫か??
綾香 :スイカ割り・・・。
天王寺:え?
綾香 :うふふ〜スイカ割りしたいな〜。
ひかる:それはさっき却下って・・・。
ちさと:やばいよ。復活したけどこれは絶対酔ってる。
綾香先輩!思考が上手くいってないよ!
綾香 :ちょっとアンタ?早く棒を・・・。
スイカの織音さんはそこに座ってなさいよ〜。
天王寺:アンタって俺のことか?
織音 :私、スイカじゃないもん!
春菜 :もはやアニキの判別すら不可能と。
ひかる:オロオロ・・・。困りましたわ。
綾香 :まて〜織音〜!
ちさと:きゃー、やめてよー!私はちさとだよー!
「綾香熱暴走」
天王寺:いい加減にしろ!
ぱぁん
ちさと:お兄ちゃん?!
綾香 :・・・!
ぶ、ぶったわね。
天王寺:他の人に迷惑はかけるな。病人はおとなしくしてろ。
ほら、救護センターまでつれてってやるから、おぶされ。
綾香 :天王寺君・・・。
天王寺:ほら、行こう。
綾香 :・・・うん、わかったわよ。
天王寺:氷上達はここで待っててくれよ。
克巳のヤローが戻ってくるかもしれないから。
早苗 :あ、ああ。
ひかる:羨ましくてちょっと妬けますわ。
織音 :いいなー、おんぶ。
早苗 :・・・そんな事言ってる場合じゃないだろ。
天王寺:・・・悪かったな。ぶったりなんかして。
綾香 :・・・痛かったわ。
天王寺:身体、大丈夫か?
綾香 :酔いはさめた。
天王寺:しかしお前もいい加減、皆の前で虚勢張るのよせばいいのにな。
綾香 :・・・!
そ、そんな事・・・ないわよ。
天王寺君こそなんでそんな事言うのよ?
天王寺:・・・なんか色々無理してるみたいだからさ。
綾香 :・・・無理?
天王寺:うん、なんていうかお前はいつも平松とは関係ないって
言っておきながらどうしてこう何度も何度も平松の叔父さんの恩恵で
タダで遊びにこれるのかが解せないんだよ。
綾香 :そ、それは・・・。
天王寺:いつもバイトとかしてるし宿代とかも本当はお前が・・・。
綾香 :ス、ストップ。その先は言わないで・・・。
天王寺;・・・やっぱりそうか。
綾香 :な、なんの事かしらね?
天王寺:あのなぁ・・・。
綾香 :・・・。
・・・秘密・・・だからね。
絶対に皆には言わないでよ。
天王寺:しかし本当にお前って度を越したお人よしだよ・・・。
綾香 :う、うるさいわね。
天王寺:さ、もうすぐ救護センターにつくぞ。
・・・平松?
綾香 :くー。
天王寺:寝てるのか・・・。
夕方・・・。
綾香 :ぱち。
織音 :あ、綾香さんが気がついた。
ひかる:一時はどうなる事かと思いましたわ。
ちさと:先輩のせいじゃないの・・・。
綾香 :ここどこ?
天王寺君の背中は?
早苗 :はぁ?
何言ってるんだ?
ちさと:綾香先輩は熱射病で突然倒れたんだよ。
綾香 :うん、それは覚えてる。
春菜 :???
綾香 :私、暴れちゃって、天王寺君にぶたれて、
天王寺君におんぶしてもらって救護センターまで運ばれたのよね?
ひかる:綾香さん、なんか記憶が混濁してるみたいですね。
織音 :おんぶしたのは天王寺君じゃなくて私だよー。
綾香 :え?
だってぶたれたほっぺだってまだ少し痛いし・・・。
ひかる:あら、少しはたきすぎちゃいましたかしら。
意識が無かったですから。
早苗 :あれは絶対他意もあったな。
綾香 :どういう事?
早苗 :こっちが聞きたいけどな。
克巳 :入るぜ。
おお、復活したか。
天王寺:とりあえず一安心って所だな。さっき医者が来て今日は安静にしていろだってさ。
綾香 :じー。
天王寺:???
なんだよ。
綾香 :私、何か言ってた?寝言とか?
早苗 :うん、唸りながら、その・・・織音殺すとか。
織音 :どうして運んでる最中に私の背中でそういう事言うかな、凄い怖かったよ。
綾香 :夢か・・・。
織音 :夢?
そうそう、寝言で思い出しましたけど最後に言った「秘密だからね」ってなんですか?
綾香 :え?
ひかる:このごに及んでまだ何か秘密隠しているのかしらねぇ。くすくす。
天王寺:先輩!(覗いちゃダメだって!)
綾香 :・・・別に、たいした事じゃないから。
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